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誰もが平等に温泉へ。学生団体「燈(とぼし)」の挑戦|学生団体 燈 インタビュー

知っ得 大学生活 群馬

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更新日:2026年08月29日

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温泉大国・群馬で、「もっとたくさんの人に温泉を楽しんでほしい」
と活動している学生たちがいます!


湯あみ着を通して、乳がんや手術跡がある人だけでなく、裸になることに抵抗がある人や、日本の入浴文化に慣れていない海外の人など、さまざまな人が温泉を楽しめる選択肢をつくろうとしています。

今回グンキャンでは、そんな活動を続ける学生チーム「燈(とぼし)」にインタビュー。
そもそも、なぜ学生たちは「湯あみ着」に出会ったのか。
そして、どんな人たちとの出会いを経て、今の活動につながっているのか。

話を聞いていくと、学生たちの活動は、さまざまな人との出会いをきっかけに少しずつ形を変え、今の「誰もが温泉を楽しめる社会」という目標につながっていることが分かりました。

今回は、そんな学生たちのこれまでの歩みと、これから目指す温泉の未来について聞いてきました。


Q. まず、現在はどのような活動をしているんですか?

今は、温浴施設のダイバーシティ化を目標に、湯あみ着を広める活動をしています。
湯あみ着とは、簡単に言うと、着たまま温泉に入ることができる衣類です。
乳がんなどによる手術跡がある方や、混浴の際に使うものというイメージを持つ人も多いかもしれません。

でも、活動を続ける中で、気づいたことがあります。

最初は乳がんの方に向けて、というところが結構大きかったんです。
でも、それだけじゃないんじゃないかって。

例えば、帝王切開などで手術跡がある人。

アトピーなど、肌に症状がある人。

裸になることに抵抗がある人。

そして、日本とは違う入浴文化の中で育ってきた海外の人。

「温泉に入りたいけど、裸になることがちょっとハードルになっている人って、意外といろんな人がいるんじゃないかなって思うようになりました」

乳がんは、その一つ。
湯あみ着を必要とする理由は、人によって違います。

だからこそ今は、「この人のため」と決めるのではなく、ターゲットそのものを広げて考えています。


Q. 最初から、今のような活動をしていたんですか?

いや、全然違いました(笑)
活動が始まったのは、2023年8月頃。

大学の「バーチャルカンパニー」という授業がきっかけでした。
当時は商品開発に取り組んでいましたが、最初は商品のお題を探すところから難航してて何を作るか、なかなか決まりませんでした。

そんな中、担当教員から紹介されたのが、群馬県の「サウナ・スパ関連商品等開発支援事業」でした。

そこで、繊維業の企業やデザイナー、縫製などを担う人たちと学生がチームを組み、「繊維×サウナ・スパで、何か社会課題を解決できるものを考えよう」というところから始まりました。

その中で知ったのが、湯あみ着でした。

最初に考えたのは、アトピーのある人にも使いやすい湯あみ着。

アトピーの症状は腕や背中など、人によって現れる場所もさまざまです。
そこで、肌を隠しながら温泉を楽しめるものとして、ワンピースに羽織を組み合わせたような湯あみ着を開発しました。

ただ、当時は実際にそうした悩みを抱える人と一緒に活動していたわけではありません。
そのときは、もう本当に手探りで、調べたこととか、自分たちの感覚で作っていました。

当時の湯あみ着には、「デザインが地味」「使い回しにくい」「必要最低限のものが多く、着ること自体に抵抗を感じる」といった課題もありました。

「じゃあ、逆におしゃれにしてみたら面白いんじゃない?」

そんな発想から、最初の湯あみ着では機能性だけでなく、おしゃれさも追求し、
おしゃれで肌に優しい湯あみ着の開発に取り組んでいました。


Q. バーチャルカンパニーという授業は1年間で一区切りだったと思いますが、そこからも活動を続けようと思ったのはなぜですか? 

2024年3月、教員の紹介を通じて、乳がんを経験し、自身も湯あみ着を使いながら、その存在を広める活動をしている方と出会いました。

最初は、とりあえず作った商品を見てもらうみたいな感じだったんです。
実際に商品を見てもらい、アドバイスをもらう。
そこから少しずつ、これまでとは違う商品開発が始まっていきました。

今までは、自分たちで調べて、自分たちで考えて作ってたんですけど、その方の意見を聞きながら、
『ここはこうした方がいい』とか、ちゃんと使う人の声を聞いて作るようになりました。

乳がんを経験した人が、温泉に入るときに感じる悩みや湯あみ着が必要とされる場面など、
実際に当事者の声を聞く中で、これまで見えていなかったことも少しずつ分かってきました。

ただ、もともとの県の事業は、3月で終了する予定で、授業も終わるし、普通だったらそこで終わりだったと思うんですよ。

自分自身も最初から、何年も続けるつもりで始めた活動ではありませんでした。
まさか2年目に行くと思ってなかったです(笑)

それでも、実際に湯あみ着を必要としている人と出会ったことで、気持ちが少しずつ変わりました。

乳がんっていう側面も入ってきて、これって結構、社会的な意味のある活動なんじゃないかって思うようになりました。

さらに、その方自身もチームに関わるようになってくれて。

「せっかくだったら、もうちょっとやってみよう」ということで
1年で終わるはずだった活動は、2年目に進むことになりました。


Q. 2年目は、どんなふうに活動が変わったんですか?

2年目からは、結構“乳がん”の方に寄っていきましたね。

この年から掲げるようになったのが、
「温浴施設のダイバーシティ化」

という目標です。
今思うと、ちょっと大きい目標だったなと思います(笑)

ただ、その言葉を掲げたからといって、最初から活動の形が決まっていたわけではありません。全然手探りでした。

乳がんを経験した方の意見を聞きながら、湯あみ着を改良。
「ここはこうした方が使いやすい」といった声をもとに、新しい商品を作っていきました。
2年目は、結構、機能性を突き詰めてましたね。最初はどっちかというと、おしゃれにしようっていう感じだったんですけど。

そして、活動を続ける中で、「湯あみ着がそもそも知られてない。」
ということについて考えるようにもなりました。
どれだけ商品を作っても、その存在を知らなければ使ってもらうことはできません。

このころからは、作るのも大事だけど、広めるのも大事だよね、という風に思い始めました。
そこから、ピンクリボン活動やイベントなどにも取り組むようになっていきます。


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Q. 温浴施設でイベントを開催したのには、どんな理由があったんですか?

2024年10月にはピンクリボン月間に合わせて、イベントをやりたい!という想いからクラウドファンディングに挑戦しました。

イベント資金をとりあえず集めようということで挑戦しましたが、この時点では、まだ具体的に何をやるのか、
すべてが決まっていたわけではありませんでした。

それでも、最終的に約26万円の支援を集めることができ、
そして開催したのが、磯部ガーデンと千の谷でのイベントです。

実際に湯あみ着を着て、温泉に入ってもらうというイベントを開催しました。
でも、このイベントは湯あみ着を広めることはもちろん、もう一つ、「温泉に入る」というイベントにした意図がありました。

それは「施設側にも、湯あみ着のことを知ってもらいたい」という想いです。

例えば、施設の責任者が湯あみ着について知っていても、実際に現場にいるスタッフが知らなかったらどうなるのか。
他のお客さんから、『あの人なんで服を着て入ってるんですか?』って聞かれたときに、説明できないじゃないですか。
もし、その場で湯あみ着について説明できなければ、最悪、その人に出てもらうしかなくなっちゃう可能性もある。

だからこそ、実際に温浴施設でイベントを行うことに意味がありました。
利用者に知ってもらうのもそうなんですけど、施設側にも知ってもらう。そこは結構大きな目的でした。


Q. その後、さらに活動の幅を広げていったきっかけなどは何かありましたか?

個人的には、東京のイベントが結構大きかったと思っています。
2025年の初めに前橋市と共愛学園前橋国際大学の共同出展として、「UPDATE EARTH」に参加しました。

東京の、めちゃくちゃ大きい会場で、本当にいろんな人が来るイベントでした。
企業の人。学生。海外の人。ジェンダーマイノリティの人。障害のある人や、その支援に関わる人。

そこで本当にいろんなバックグラウンドの人と話しました。
このイベントを経て、これまでの「乳がん」というテーマについて、改めて考えるようになったと思います。

湯あみ着の使い道、湯あみ着を必要とする人は、乳がんだけに閉じた話じゃないんじゃないか。
もともと、何となくそう感じていた部分はありました。

ただ、実際にいろいろな人と話す中で、それが少しずつはっきりしていきました。

例えば、海外の人。

温泉に招待した海外の人が、水着で入ってきたみたいな話も聞きました。

最初は、その姿を見て笑ってしまったそうですが、

よく考えてみると、その人にとっては裸で温泉に入る文化が当たり前ではなかった。

文化が違ったら、そりゃそうだよなと気づくことができました。

また、乳がん以外にも、手術跡がある人から、

「実は私、こういうことで困っていて」

という声を聞くこともありました。

帝王切開によるお腹の傷跡など、乳がん以外にも、温泉に入ることにハードルを感じている人がいる。
そうした声を、実際に本人の口から聞いたことで、これまで何となく感じていた
「必要としてる人って、もっといろんなところにいるんじゃないかって」という考えが、確信に変わっていきました。


Q. そこで、ターゲットを広げていったんですね

そうですね。乳がんが違うっていうわけじゃなくて、乳がんも一つの側面というか。
乳がんを経験した人は、今でも大切な対象の一つです。

ただ、そこだけに限定しない。

アトピーなど、肌に症状がある人。

帝王切開などの手術跡がある人。

病気による身体の変化がある人。

裸になることに抵抗がある人。

裸で温泉に入る文化がない海外の人。

理由は違っても、温泉に入りたいけど、ちょっとハードルがある人っていると思うんですよね。
だから今は、「誰のための湯あみ着なのか」を狭く決めるのではなく、もっと広く考えています。
湯あみ着を着ることが特別じゃなくて、必要な人が普通に選べるようになったらいいなと思ってます。


Q. 商品開発も、かなり試行錯誤してきたそうですね

めちゃくちゃ試行錯誤してます(笑)

乳がんを経験した方の意見を聞きながら作った商品は、使いやすさを追求した結果、一着約2万7000円になりました。
良いものを作ろうとすると、どうしても高くなってしまって。

そこで、次に考えたのがコストでした。
個人に売るだけじゃなくて、施設に導入してもらって、必要な人に貸し出す方がいいんじゃないかというふうに、
届け方も考え直しました。温浴施設が湯あみ着を用意し、必要な人が借りる。
その形を考えるようになりました。

もともと、湯あみ着を導入してる施設って、貸し出しのところも結構あるんです。
そこで、施設への導入を意識した商品づくりを始めました。

コストを抑えるために、とにかく、縫製の手順を減らそうと試行錯誤しました。
ただ、ここでも簡単ではなく、めちゃくちゃシンプルにしたら、なんか“ただの布一枚”みたいになってしまって(笑)
コストは下げられても、自分たちが納得できる見た目ではなかった。
これを売るのは、ちょっと違うなってなってしまい、その商品は販売まで進みませんでした。

でも、そのときに考えたことは、今にも結構つながっていると思います。

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Q. 生地そのものも、温泉用に作っているんですよね

そうなんです。温泉用のレース生地を作ってもらいました。
もともと使っていたのは、カーテン用のレース生地でした。
つくっていくなかで、綿100%だったので、水をめちゃくちゃ吸ってしまうことが改良点としてあげられました。

そこで、温泉で使うことを考え、綿とポリエステルを組み合わせた生地を作ってもらいました。
ポリエステルは水が抜けやすいので、乾きやすい。

だ、軽ければいいわけでもありません。
軽すぎると、温泉に入ったときに浮いてきちゃうんです。
そのため、多少の重さも必要でした。

温泉の中で使うものだから、普通の服とは違う難しさがありましたね。

また、見た瞬間に、「あ、温泉用なんだ」って分かる方がいいかなと思い、生地には温泉マークも入れています。

Q. 今年度は、どのように活動を進めていますか?

2026年には、大学の学生プロジェクトに採択され、公認団体として活動をスタートしました。

そして現在、新しい湯あみ着も完成しています。
今までやってきたことを全部捨てるんじゃなくて、良かったところは残しながら、新しくしていく感じですね。

これまで複数枚重ねていた生地を、レース生地1枚に変更。
生地のコストも見直しました。

また、デザイナーが変わったこともあり、これまでとは少し違った形に生まれ変わっています。

今までのエッセンスは残しつつ、形は結構変わったかなと思います。

そして今、この新しい湯あみ着を広めるための新たな挑戦を進めています。

Q. 最後に、これからの目標を教えてください

「まずは、草津のイベントに向けて活動を広げています。」

現在計画しているのが、草津温泉・西の河原露天風呂でのイベントです。

新しい湯あみ着を着て、100人で温泉に入る。

100人で湯あみ着を着て温泉に入るって、なかなかないですよね(笑)

このイベントに向けて、現在は100万円を目標にクラウドファンディングにも挑戦しています。リターンの一つとして、新しい湯あみ着の販売も予定しています。

まずは、これをきっかけに湯あみ着の存在を知ってもらいたい。

温浴施設では、湯あみ着という言葉自体を知っているところも少しずつ増えてきています。

でも、実際に使われる機会はまだ多くありません。

そこで、このイベントをきっかけに、うちでもやってみたいって手を挙げてくれる温浴施設があったら、そこに行ってイベントをやったり、湯あみ着を導入してもらったりしていきたいです。

そして、もう一つ、今後湯あみ着を届けていきたいのが、まだ湯あみ着の存在を知らない人たちです。

「実は、湯あみ着があるんだったら温泉に行きたいっていう人って、いると思うんですよ」 

乳がんや手術跡のように、身体的な理由がある人だけではなくて、単純に、裸を見られるのが恥ずかしいっていう人もいるじゃないですか。それだって、温泉に入りづらい理由としては十分だと思うんです。

文化的な違いもあります。

海外の人など、そもそも裸で温泉に入る文化に馴染みがない人もいます。

「いろんな理由で、温泉に行きたいけど行けない人がいると思うんですよね」

だからこそ、まずは湯あみ着という選択肢があることを知ってもらう。

「知ってたら、使ってたかもしれないっていう人に、ちゃんと届けたいです」

湯あみ着を使うか、使わないか。

それを自分で選べる。

そんな選択肢が当たり前になれば、温泉に入ることへのハードルを一つ下げられるかもしれません。

温泉に行きたいけど、ちょっと恥ずかしいとか、ちょっと抵抗があるとか。そういう精神的なハードルを、湯あみ着で少しでも越えられるようにしたいです。

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まとめ✅

今回取材をしていて感じたのは、この活動は、さまざまな人との出会いによって少しずつ形を変えながら、ここまで続いてきたということです。

実際に湯あみ着を必要としている人の声を聞き、イベントで多くの人と出会う中で、「もっと多くの人が温泉を楽しめるようにしたい」という思いが、どんどん強くなっていったのではないでしょうか。

そして、この活動には学生たちだけでなく、乳がんを経験した方や企業、デザイナー、温浴施設など、これまで出会ってきたさまざまな人の思いも重なっています。

一つの商品をつくることから始まった活動が、多くの人との出会いを通して、「誰もが平等に温泉に入れる社会」を目指す活動へと広がっていきました。

これから草津でのイベントをきっかけに、その思いがどのように広がっていくのか、私自身も注目していきたいと思いました。




この記事を書いた人 ✏️

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りんちゃん

共愛学園前橋国際大学
国際社会学部 情報・経営コース所属
大学では経営やビジネスを学びながら、社会課題の解決について学んでいます!
最近のマイブームはスノーボードで、春休みは最低でも週1回通うことを目標にしています🏂🏻♡
自身の経験を活かしながら、学生目線でリアルな情報を発信し、同世代の皆さんに「群馬って面白い」と思ってもらえるような記事を書いていきたいです!📸

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